近々作品集を作るために、制作にあたっての文章を考えています。
「世界をつつむ 透明なうつわとして」
世界はよろこびに満ちている。
存在するものすべてが、それそのもののもつ美しさをあらわすならば。
この世界は完璧にまわり始めるだろう。
…この先がどうしても思い浮かばなくて、お気に入りの作品を前にウンウン
唸っていました。
ウンウン言ってるうちにふわーっと眠くなってきて、いつの間にか夢のようなものを
みて。
ー深い深い森の中に、とても冷たい小川が流れていて、苔生した岩の下には、薄暗い
洞穴がある。
水は冷たいけれどとても澄んでいて、洞穴の底の小石までがキレイに見える。
そこには一匹のサンショウウオが住んでいて、薄暗がりからそっと顔を出して辺りを
見ている。
彼の目に映るのは、鬱蒼とした木々、絶えず流れる清い水、時々陽の光が差し込ん
で、深々とした苔が黄金色に浮かび上がる。
サンショウウオはこの景色をとても美しいと感じ、この世界を深く愛している。ここ
に生きる自分に、深く満足している。
自分が存在することそのものに、深く感謝している…。
ふと目が覚める。
サンショウウオとしての命が、あまりにも幸福感に満ちていて、なんだか涙が溢れて
きた。
すべてのものは世界を美しいと感じる心を持っていて、どんな小さな生き物でさえ、
命を生きるということ、今ここに存在することそのものに、感謝しているのではない
かなと思った。
存在することそのものに感謝するって、なんだか究極の愛情のような気がしてきて、
たとえそうなのだとしたら、そういうものに囲まれている私はこの上なく幸せだと思
う。
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